公正証書の作成手続き

離婚、遺言、金銭消費貸借、債務弁済、任意後見、その他

遺言公正証書(公正証書遺言)

死亡時の財産の処分方法などを定めた書面を遺言書といいます。
遺言書を作成することは、必ずしも義務ではありませんが、えてして「相続=争族」といわれるように、遺産をめぐる争いは多いものですから、事前に紛争を予防するため、遺言書を作成することは、とても効果的です。
遺言公正証書(公正証書遺言)とは、遺言者が公証人に対し、遺言内容を口頭で伝え(口授といいます)、公証人が聞いた内容を基に作成する遺書書のことをいいます。

遺言公正証書(公正証書遺言)を作成するメリット

家庭裁判所の検認が不要
公正証書以外の遺言では、法務局の遺言書保管制度を利用する場合を除いては、家庭裁判所の検認を受けなければなりませんが、遺言公正証書(公正証書遺言)の場合には、検認が不要とされており、相続手続きがスムーズに進められます。
信頼性
遺言公正証書(公正証書遺言)は、証人2名立ち会いのもと、公証人によって作成されますから、改ざんや変造の心配がなく、内容が真正なものであるという推定が働きますから、あとで無効だとされる危険もほとんどありません。
また、自筆証書遺言のように、様式の不備などが生じる心配もありませんから安心です。
安全性
公正証書の原本は公証役場に20年間ないし本人が100歳に達するまで、いずれか長い方の期間保管されますから、紛失の心配がありません。
法定相続人、受遺者・遺言執行者など利害関係人であれば、被相続人の死後、公証役場に依頼することで、日本公証人連合会の遺言検索システムにより、遺言書の存在の有無を調べることが出来ます。
字を書く手間が不要
直筆の遺言書だと、財産の正確な特定など、かなり大変な作業ですし、誤字脱字などがあれば無効になるおそれもあります。
遺言公正証書(公正証書遺言)の場合であれば、公証人が全文を作成しますので、仮に病気やけがで自書することが不可能な方でも、作成することが可能です。
また、希望に応じて、公証人が自宅や病室へ出張して作成することも出来ます。
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遺言公正証書(公正証書遺言)に定める内容

■財産の処分に関する事項

相続分の指定または指定の委託
法定相続分とは異なる相続分を指定することが出来ます。
または、この相続分の指定を第三者に委託することが出来ます。
遺贈、および遺贈の減殺の順序・割合の定め
遺言によって法定相続人以外の者へ贈与(遺贈と言います)をすることが出来ます。
一緒に暮らしていた配偶者の「配偶者居住権」は、遺贈として定めることになります。
また、遺留分減殺となる順序や割合についても定めることが出来ます。
遺産分割方法の指定または指定の委託、もしくは遺産分割の禁止
遺言によって、財産をどのように分けるか、具体的な遺産分割の方法を指定することが出来ますし、この分割方法の指定を第三者に委託することも出来ます。
また、相続開始から最長5年以内であれば、財産の分割を禁止することも出来ます。
推定相続人の廃除、または排除の取消し
相続させたくない者がいる場合、遺言で具体的な理由を記して排除することが出来ます。
ただし、排除の請求は、遺言執行者によって行う必要があります。
または、遺言で排除を取消すことも出来ます。
特別受益の持ち戻しの免除
相続の際に、特定の相続人が受けた特別受益が相続分から控除されない(持戻されない)ようにする事が出来ます。
共同相続人の担保責任の減免・加重
遺言によって、相続人間の担保責任を、減免ないし加重することが出来ます。

■身分に関する事項

認知
婚姻関係にない相手との間に生まれた子、または生まれてくる予定の子を認知することが出来ます。
認知の届出は、遺言執行者によっておこなう必要があります。
未成年後見人の指定
推定相続人で親権者のいない未成年者のために未成年後見人を指定することが出来ます。
さらに後見人を監督する後見監督人を指定することも出来ます。

■遺言執行に関する事項

遺言執行者の指定または指定の委託
遺言によって、遺言者の代わりに遺言内容を執行する者(遺言執行者)を指定することが出来ます。
または、指定を第三者に委託することも出来ます。
遺言執行者の復任権・遺言執行者の報酬
遺言によって、遺言執行者が、やむを得ない理由でなくても、第三者に任務を行わせることを、認めることが出来ます。
また、遺言執行者の報酬についても定めることが出来ます。

■その他の事項

財団法人設立のための寄付行為

信託の設定

生命保険受取人の指定や変更

遺言の取消し

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遺言公正証書(公正証書遺言)に関する注意点

遺言公正証書(公正証書遺言)の作成に関する注意点はについては、こちらをご覧下さい。


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遺言公正証書の作成に関する必要書類

遺言公正証書の作成において必要となる書類は案件によって異なりますが、主なものは以下のとおりです。

●遺言者の印鑑証明書
●遺言者の戸籍謄本
●受遺者の住民票
●財産の相続がある場合
 ・不動産登記簿謄本と
  固定資産税評価証明書(不動産)
 ・預貯金の通帳または残高証明書
 ・生命保険の解約返戻金証明書
 ・車検証と査定書(自動車)

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