公正証書の作成手続き

離婚、遺言、金銭消費貸借、債務弁済、任意後見、その他

公正証書とは?

公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。
「公正証書」には証明力があり、執行力を有しており、安全性や信頼性に優れています。
例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、支払いが滞った場合に、本来であれば裁判で確定判決を受けなければ行うことの出来ない、給与や口座の差押などの「強制執行」の申立が直ちに行えます。
また、遺言公正証書においては、家庭裁判所の検認手続きが不要となります。

公正証書の目的

公正証書の目的は、契約や遺言などの一定の事項を公証人に証明させることにより、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化・安定化を図ることであり、作成された原本は公証役場に保管され、債権者には正本が、債務者には謄本が、それぞれ交付されます。
※遺言公正証書の場合は、遺言者に正本と謄本のどちらもが交付されます。

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公正証書の原本

公正証書原本

公正証書の場合、通常の契約書のような原本2部ではなく、原本は1部のみ作成となり、公証役場で保管されます。
そのため、震災その他の天変地異やによる紛失や、第三者による改ざんの心配などがありません。
また、金銭消費貸借契約においては、印紙代は1部の分のみしかかかりませんし、当事者(代理人による嘱託の場合は代理人)の署名捺印も1部のみとなります。

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公正証書の正本・謄本

公正証書正本

公正証書の原本は公証役場に保管されるため、原本と同一の内容が記載されたものを、当事者には謄本として交付されます。
そして、この「謄本」のうち、債権者が受け取るものを特に「正本」といいます。
「謄本」(正本を含む)は、当事者の署名捺印を記名に代えたものとなります。

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公正証書の効力(メリット)

公正証書には、通常の契約書や遺言書などとは違い、以下のような効力があります。

1 証明力
証明力 公正証書は、法律のプロである公証人が、書面の記載内容について、法令違反がないかどうかを確認し、作成当事者の身元について、印鑑証明書などで確認してから作成を行います。
その為、あとで公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
また、遺言公正証書においては、家庭裁判所の検認手続きが不要とされています。


2 執行力
執行力 公正証書は信頼性が高いため、例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、「強制執行」の申立が直ちに行えます。
本来であれば、強制執行をするためには、裁判所に訴訟を提起し、勝訴の判決を受け、確定されなければなりません。
もちろん、ある程度の時間や労力、費用などの負担を要しますし、その訴訟係争中に相手が破産するなど経済的に破綻してしまったら、執行出来たはずのものさえ出来なくなる危険があります。
そういう意味では、公正証書の持つ執行力は、債権保全において、とても強い威力を発揮します。


3 安全性
安全性 公正証書の作成においては、書面の記載内容について、法律のプロである公証人が、法令違反がないかどうかを確認し、作成当事者の身元については印鑑証明書などで確認します。
その為、文書の成立において、真正であるという推定力が働きます。
あとで公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
作成された公正証書の原本は、公証役場で20年間保管されますから、改ざんや変造の心配もありませんし、万が一、交付された正本や謄本が紛失や盗難、破損などしても、再交付を受けることが可能であり、とても安心です。


4 事実上の効力
公正証書は通常の契約等とは異なり、具体的な文面内容と疎明資料、および当事者本人の確認資料を元に、厳正に作成手続きが行われます。
法律の専門家である公証人が関与して作成する公文書でもあり、破棄や紛失、改ざんのおそれがなく、金銭債務においては執行力もあります。
そのような効果は、事実上の効果として、何よりも、当事者双方に履行の厳守を促し、違反しないように細心の注意を払うことを自覚・認識させることができ、不払いや約束違反などの不履行の生じる危険を最小限にすることができます。
これは心理的な効果でもあり、極めて重要ともいえる「事実上の効果」です。


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